建築と社会バックナンバー

『建築と社会』2017年4月号:東海支部会員作品

井村屋アイアイタワー

井村屋アイアイタワー
建築主 井村屋株式会社
設計・監理 株式会社 東畑建築事務所
施工 岐建株式会社
所在地 三重県津市高茶屋七丁目1 番1 号
敷地面積 59,346.59m²
建築面積 1,606.47m²
延床面積 3,133.39m²
構造規模 S造 地上3 階
工期 2015年7 月~2016年4 月
最寄駅 近鉄名古屋線 久居駅
撮影 エスエス(名古屋)
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井村屋アイアイタワーは-25℃の冷凍保管倉庫と社員食堂の複合施設である。各用途で温度帯が異なるため、積層させることで、明確な温度帯区分を行っている。高さ30mの冷凍保管倉庫は、折板のラジアル加工で屋根と壁が連続する曲面壁とし、まちにやわらかな表情を魅せている。社員食堂アイアイラウンジは企業の代表的な商品である「あずき」をモチーフにした厨房を中心に、様々なスペースを点在させ、社員のシチュエーションにより、多様なコミュニケーションが生まれる場所づくりを行った。壁や家具には三重県産木材を多用し、地域の素材に囲まれた場所で心と体を休める食堂を実現した。

(瓦田伸幸、高木耕一、野呂和弘、鵜飼浩平/東畑建築事務所)

小野薬品工業株式会社 フジヤマ工場 第2倉庫

小野薬品工業株式会社 フジヤマ工場 第2倉庫
建築主 小野薬品工業株式会社
設計・監理 大林組名古屋支店一級建築士事務所
施工 大林組名古屋支店
所在地 静岡県富士宮市北山字東下組5221番他
敷地面積 110,225.36m²
建築面積 24,339.67m²
延床面積 2,435.09m²
構造規模 S造 地上1 階
工期 2015年11月~ 2016年8月
最寄駅 JR身延線 富士宮駅
撮影 エスエス(名古屋)
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主力工場であるフジヤマ工場の更なる機能拡充を目的とした、原料・中間品・完成品を保管する医薬品倉庫。医薬品製造上の厳しい品質管理を要する内部空間と、富士山麓の豊かな自然に囲まれた外部空間を結ぶ、アプローチ空間・搬入導線・荷捌き場を一体的に包括する端整な大庇による構成を目指した。
建物高さが低く規模も限られる中、機能的な搬出入と合理的な設備配置が求められた。倉庫と管理部分の異なる天井高さを利用し配置した屋外機スペースは、地盤測量データを入れたBIMを活用し、大庇によりアプローチから視認できない構造とし、内外共に軽やかな建物構成を実現した。BCP対策として、特定天井相当の耐震天井の採用は勿論、有事後の事業継続性と空間機能の維持への配慮を施した。耐震天井を実現するため倉庫外周部と外装間にクリアランスを設ける一方、防虫対策としては内装壁面ボード二重張りや異種取合いディテール(廻り縁スライド部の全域ガスケット設置、設備吊材と天井開口部取合いのガスケット付スライドプレート)等を施し、復旧時の補修範囲を最小限とする工夫をしている。
限られた倉庫空間において出来る限り効率的な製品の保管を可能とするため、移動ラックを用いた倉庫管理システムを導入し、既設倉庫と連動した物流システムの統合整備もおこなった。移動ラックにはレースレス方式を採用し、粉塵などの異物混入の防止や制振性能の確保を実現した。
外壁材は『富士山等眺望保全地域』の厳しい規制に適応するため、金属サンドイッチパネルを用いた落ち着きのある色彩にするとともに、金属の素材感を活かし、富士山麓の澄んだ空気を通過した陽の光に映える清白な外観を目指した。

(峰岸 渉/大林組)

株式会社日特スパークテック東濃 二野本社工場 厚生棟

株式会社日特スパークテック東濃 二野本社工場 厚生棟
建築主 日本特殊陶業株式会社
設計・監理 大林組名古屋支店一級建築士事務所
施工 大林組名古屋支店
所在地 岐阜県可児市二野字南山2706-3 他
敷地面積 118,468.75m²
建築面積 1,287.26m²
延床面積 1,246.54m²
構造規模 S造 地上1 階
工期 2015年8 月~ 2016年2 月
最寄駅 JR 太多線 可児駅、名鉄広見線 新可児駅
撮影 エスエス(名古屋)
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世界NO.1のスパークプラグの絶縁体工場である株式会社日特スパークテック東濃二野本社工場を支える厚生施設が完成した。食堂、診療所、事務室等で構成されている。
食堂から伸びた庇は、日射を遮蔽し、建物周辺の道路や工場エリアからの視線を適切に制御するとともに、テラスに軒を与えることで縁側的な親近性のある空間を提供している。
食堂と緩やかに連続するテラス・休憩スペース・中庭は、回遊性のある空間配置として、従業員の方々の多様で広がりのあるコミュニケーションの場とした。
食堂は、天井高4 mの無柱空間とし、Low-Eペアガラスと簡易エアフローとすることで、開放性と省エネ性を両立させ、工場執務から気持ちを切り替えてリフレッシュしていただける居心地のよい空間とした。

(塚田恭子/大林組)

最終組立格納庫

最終組立格納庫
建築主 三菱重工業株式会社
設計・監理 菱重ファシリティー& プロパティーズ・竹中工務店
施工 菱重ファシリティー& プロパティーズ
所在地 愛知県西春日井郡豊山町
敷地面積 50,572.34m²
建築面積 23,882.36m²
構造規模 S造 地上5 階
工期 2015年1 月~2016年2 月
最寄駅 名鉄犬山線 西春駅
撮影 エスエス(名古屋)
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この施設では国産初のジェット旅客機の量産最終組立が行われ、世界一流の航空機生産を目指すとともに、開かれた・見せる工場としてカスタマー等の見学施設も備えている。
「見せる工場」としての顔づくりとして、名古屋空港に向かい合う約140m×13.5mの電動大扉にはグラフィックを施し、 航空機生産地域であることをアピールしている。内部は約150m角の平面を大きく2つのエリアに分割し、無柱空間で 最終組立がおこなわれる。工場内は空を連想させる紺色(成層圏)とオレンジ色(朝焼け)でアクセントされ、見学者歩廊を 巡りながら航空機生産を間近に見ることができ、日本のモノづくりの最先端を実体感することができる。
安全性・信頼性に優れた71.25mの無柱の製造ラインは、5階のトラス内にある生産部分を中央に対称配置することで、 トラス変形の最小化を図るとともに、耐震要素を集約した中央部の地震時の基礎の浮き上がりを防止し、構造バランスと 耐震性を両立した架構計画としている。トラスピッチは、桁行方向はトラス部材・小梁・クレーン走行レールを最小化 するスパンを選択することと、ロングスパン床の使用により部材数の最小化を図っている。

(竹内資雄/菱重ファシリティー&プロパティーズ・吉岡英一/竹中工務店)

三交不動産株式会社 津丸の内ビル

三交不動産株式会社 津丸の内ビル
建築主 三交不動産株式会社
基本設計 株式会社青島設計
設計・監理 大林組名古屋支店一級建築士事務所
施工 大林・日本土建建設工事共同企業体
所在地 三重県津市丸之内9 番18号
敷地面積 2,635.74m²
建築面積 809.17m²
延床面積 5,504.73m²
構造規模 S造 地上8 階・搭屋1 階
工期 2014年2 月~ 2015年12月
最寄駅 近鉄名古屋線 津新町駅
撮影 エスエス(名古屋)
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三重交通グループの不動産会社である三交不動産株式会社の60周年記念事業として、「人・地域・環境にやさしい新本社ビル」をコンセプトに老朽化した本社ビルの建て替えを計画した。
計画地は、県内有数の幹線道路である国道23号線上の岩田橋のたもとにある。川沿いの開けたロケーションから視認性の高い東側ファサードは、岩田川から伊勢湾へ流れる水面のさざなみをモチーフとし、青いガラスと白いアルミパネルとの交互の連なりにより構成した。このシンボリックな外観は、「津波避難協力ビル」の認定を受けた同建物のアイコンとして近隣にも親しまれる意図がある。
エントランスは重厚な石貼の床・壁と、暖かみのある木目調天井の組み合わせにより、新本社ビルのエントランスにふさわしい構えとした。受付カウンターは旧ビルのエントランスの大理石を再利用し、積み重ねてきた歴史を未来へ継承する。
執務フロアは、コアを最小にし、整形なワンルームの執務室を最大限確保する計画とし、間仕切りやパーティションを極力排除したオープンスペースとすることで、社員同士の対話を促進している。
インテリアイメージは、「生活創造産業のトータルプランナー」を掲げる同社らしく、働く人にもやさしいアースカラーで統一した。

(佐竹 翼/大林組)

中京テレビ本社ビル

中京テレビ本社ビル
建築主 中京テレビ放送株式会社
CM 日建設計コンストラクション・マネジメント
設計・監理 伊藤建築設計事務所・日建設計J V
施工 大林組
所在地 愛知県名古屋市中村区平池町4-60-11
敷地面積 7,120.52m²
建築面積 4,321.87m²
延床面積 29,522.24m²
構造規模 S造+SRC造 地上12階
竣工 2015年12月
最寄駅 名古屋臨海高速鉄道あおなみ線 ささしまライブ駅
撮影 エスエス名古屋支店

デンソーグローバル研修所・保養所「AQUAWINGS」

デンソーグローバル研修所・保養所「AQUAWINGS」
建築主 株式会社デンソー
設計・監理 日建設計
施工 大林組( 建築工事)
きんでん( 電気設備工事)
新日本空調( 機械設備工事)
住商インテリアインターナショナル( 家具・備品)
所在地 静岡県浜松市北区三ヶ日町
敷地面積 26,404.02m²
建築面積 3,764.26m²
延床面積 11,263.85m²
構造規模 S造 地上5 階
工期 2014年11月~2016年3 月
最寄駅 天竜浜名湖鉄道 東都筑駅
撮影 フォワードストローク
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静岡県浜松市浜名湖畔から約40mの小高い丘の頂上に位置する、平日は国内外グループ企業の管理職育成を行うためのグローバル研修センター、週末は職員関係者の保養所として利用する一体施設である。
外観は、自然の地形に馴染む緩やかな流線型の平面形状とし、上階につれて段々にセットバックさせることにより風景との調和を図りつつ、深い庇により建物の圧迫感を軽減することで、新たな地形を積層したかのような特徴的なデザインとした。アプローチから突然目の前に現れる流線型の外観を見ることで、来館者に日常とは違う非日常がスタートする期待感を感じさせる意図もある。
受身ではなく自ら積極的に参加する研修、そして、何より想像力を刺激することを目指し、自分の気持ちに合った心地の良い場所を研修者自身が見つけ自由に使うことが出来るようにバリエーションに富んだ空間を配置した。素晴らしい風景を空間構成の重要なマテリアルと捉え、1 階のグランドエリア、浜名湖側のレイクエリア、山側のフォレストエリア、最上階のスカイエリアと位置付け、内装・照明・家具は、各エリアのキャラクターを想起するデザインとした。切り取った風景は季節、時間、天候によりうつろうため、生きたマテリアルとして空間に変化を与える。また、各階をつなぐ吹抜け空間上部のトップライトには日射拡散装置を設置し、吹抜け空間を木洩れ日のような刻々と変化する光で満たした。
初めて訪れる人々の創造力を誘発しながら、訪れる度に新しい刺激を感じさせる建築である。

(葛原定次、奥宮由美、塩田哲也、鈴木豊一郎、眞庭 綾/日建設計)

豊田市生涯学習センター 前林交流館

豊田市生涯学習センター 前林交流館
建築主 豊田市
設計・監理 豊田市都市整備部建築住宅課、東畑建築事務所
施工 トヨタT & S ・大進 建設共同企業体
所在地 愛知県豊田市前林町行田
敷地面積 4,325.10m²
建築面積 1,766.58m²
延床面積 1,601.06m²
構造規模 W造・一部S造 地上1 階
工期 2014年12月~2016年3 月
最寄駅 名鉄三河線 若林駅
撮影 センターフォト
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愛知県豊田市、田園風景が広がる農村地域に建つ地域住民のための交流館の移転新築計画である。豊田市は自動車産業で有名であるが、林業も盛んであり、市として「豊田市公共建築物等の木材利用の促進に関する基本方針」を定め、積極的な木材利用の促進を進めている。本計画は市の基本方針に則し、豊田市内の交流館として、はじめて「木造化」に取り組んだプロジェクトである。
「木の見せ方」~木造の魅力を引き出す計画~
L型の平面の正面側に配置されたコミュニティーホールから背後に配置された活動室に直接アクセスすることで廊下をなくし、建物全体の一体感を共有できる計画としている。準耐火構造の仕様は、正面に配置されたコミュニティーホールは燃えしろ設計、背後に配置された活動室は石膏ボードによる被覆とし、空間の質に差をつけることで、コスト削減を図りながら木造ならではの木に包まれた魅力的な空間を実現している。また、小部屋で構成される活動室で水平力を負担することで利用者の「たまり場」となるコミュニティーホールは柱や耐震壁の無い広々としたスペースを確保している。
適材適所の構造計画
主構造は豊田市産の小径木(柱:120×120、梁:120×240)を基準とし、一部の大スパンの部材は集成材又は認定工法の平行弦トラス梁で構成している。一般的に国産材のスギとヒノキとすることで、公共建築物としてのコストの最適化を実現している。なお、施工者の努力により全体の80%が豊田市産材となった。

(寺尾達也、鵜飼浩平/東畑建築事務所)

百五銀行 丸之内本部棟

百五銀行 丸之内本部棟
建築主 株式会社百五銀行
設計・監理 日建設計
施工 日本土建・竹中工務店共同企業体
所在地 三重県津市丸之内31-21
敷地面積 3,917.61m²
建築面積 2,190.96m²
延床面積 17,331.65m²
構造規模 SRC造・S造(中間層免震) 地上12階
工期 2013年7 月~2015年9 月
最寄駅 近鉄名古屋線 津新町駅
撮影 エスエス(名古屋)
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新本館ビル2 棟(本部棟、本店棟)の計画のうち、この建物は、本部機能に特化した本部棟である。百五銀行のルーツである津藩の城址に隣接し、乱積みの石垣に調和する石張りの低層部と深い庇の高層部による「和」の景観とした。
東海・東南海地震の津波や河川氾濫による浸水を想定して中間層免震構造とし、重要機械室を免震層の上部に配置した。低層部は津波に耐える鉄骨鉄筋コンクリート造、高層部の事務室は大スパンの鉄骨造とした。
インフラの二重化とともに、自然換気や自然採光によるエネルギーセーブにより、災害時にも長時間の機能保持を行う。
街に対し全周をガラス窓とすることで、周辺環境に配慮するとともに、四方から自然光を取り入れた明るく眺望のよいオフィスとした。

(葛原定次、河辺伸浩/日建設計)

フカヤビル

フカヤビル
建築主 株式会社深谷産業
設計・監理 株式会社伊藤建築設計事務所
施工 株式会社日東建設
所在地 愛知県名古屋市中区大井町1 番37号
敷地面積 382.27m²
建築面積 319.01m²
延床面積 1,142.00m²
構造 S造、一部RC造 地上3 階、地下1 階
工期 2016年3 月~2016年12月
最寄駅 名古屋市営地下鉄名城線 東別院駅
撮影 エスエス名古屋支店

『建築と社会』2016年3月号:東海支部会員作品

愛知工業大学 新2号館

愛知工業大学 新2号館 外観
建築主 学校法人名古屋電気学園
設計・監理 清水建設名古屋支店一級建築士事務所
施工 清水建設名古屋支店
所在地 愛知県豊田市八草町八千草1247
敷地面積 512,505.90m²
建築面積 1,789.65m²
延床面積 8,701.61m²
構造規模 S造一部SRC造 地上6階 地下2階
工期 2014年1月~2014年12月
最寄駅 リニモ・愛知環状鉄道 八草駅
撮影 新名 清/エスエス(名古屋)
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キャンパスの中心付近に学生動線の交差点に面して計画された新2号館は、上層部の建築学科・電気学科の研究室、1階のロボットミュージアム(ロボット研究のためのショールームラボ及びホール)、地下2層にわたる建築学科の製図・アトリエスペース、屋上の太陽光・風力発電研究スペースから構成されている。
上層部の研究室階は、半スパンをモジュールとして将来的な学科編成の変更や研究室の増減にフレキシブルに対応するとともに、各階を貫通するライトウェルと掘りの深いコンクリート打放しの外観にて統一感を確保した。
低層階は「見て、見られて、気付いて、試すことができる環境」をテーマに、上層部とは対照的に内外壁ともガラス張りによる見通しの良い設えとし、傾斜地を活かしてサンクンガーデンやオープンテラスを設けた断面計画とした。接地階は全てキャンパスから直接アクセスすることができ、ホールやピロティを含めて屋内外に重層的に巡らせた動線スペースは、いつでもギャラリーやステージ、フィールドに様相を変えることを許容する。通りがかりにふと目にした誰かのトライ&エラーの断片を、他の誰かが拾いあげて紡いでいくようなインスパイアの連鎖によって、学生たちのこれからの日常がカタチづくられていくことを期待した。

(佐藤 剛/清水建設名古屋支店一級建築士事務所)

あいち小児保健医療総合センター救急棟

あいち小児保健医療総合センター救急棟 外観
建築主 愛知県
設計・監理 安井建築設計事務所
施工 佐藤工業
所在地 愛知県大府市森岡町7-426
敷地面積 69,290.85m²
建築面積 2,007.10m²(救急棟)
9,395.05m²(全体)
延床面積 6,869.91m²(救急棟)
27,393.67m²(全体)
構造規模 RC一部S(免震)地下1階
地上3階 塔屋1階
病床数 200床
工期 2014年3月~2015年11月
最寄駅 JR東海道本線 大府駅
撮影 加藤敏明/アーキフォトKATO
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平成15年に理想の子どもの療養環境を先駆的に実現した本館棟に、ER(3次救急、総合診療)、手術部、小児ICU、ヘリポートを備えた免震構造の救急棟を増築した。高度な医療環境に子どもの療養環境をどのように実現できるかが課題であった。本館棟での「どんぐりくんとマロンちゃんの冒険」に続く「ER棟治療編」を1階から3階にて、大地・森・空をテーマに複数のデザイナーによるアートを展開し、手術ホールではプロジェクションマッピングや壁画によるプレパレーションができるようにした。建物配置はアプローチ路とサービス路に挟まれた厳しい敷地条件にて、患者動線を分離し、既設アトリウムと車寄せを中心とした配置計画を行い、敷地のレベル差を活かして、救急とサービス車両動線を分離した。地階には中央滅菌材料室やME室、物品管理室といったサービス部門を設けて、中央滅菌材料室は2階手術部の供給廊下と手術ホールを清汚専用EVにて一体運用できる平面とした。
3階小児ICUは感染やプライバシー、集中ケアに対応できる、さまざまな形状の病室を用意している。

(篠原佳則、中原岳夫、三宅伸幸、唐沢文茜/安井建築設計事務所)

石川テレビ放送 メディア館

石川テレビ放送 メディア館 外観
建築主 石川テレビ放送株式会社
設計・監理 日建設計・五井建築研究所設計共同企業体
施工 竹中工務店
所在地 石川県金沢市観音堂町チ18番
敷地面積 11,413.13m²
建築面積 1,402.88m²
延床面積 4,010.86m²
構造規模 S造 地上4階
工期 2014年4月~2015年7月
最寄駅 JR北陸本線 金沢駅
撮影 エスエス(北陸)
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JR金沢駅北西の郊外に位置する、石川テレビ放送本館の建替え及び周辺施設の改修計画である。
築45年の旧本館をメディア館として建替え、本社玄関・総合受付のほか、報道・制作部門のオフィス、スタジオなど番組制作に係る部門を集約した。同時に既設新館・マスター館の改修を行い、3棟をロの字型に回遊できる渡り廊下で一体化し、より機能性を高めるべく総合的なリニューアルを行った。
大災害後に放送業務を継続するため、構造は耐震性能に余裕を持たせると共に、津波災害に備えて放送業務に係る機能は制作スタジオはじめ全て2階以上に配置した。報道・制作部門の主フロアとなる2階は、無柱の広いフロアを確保するため東側に大きく張り出し、その1階をピロティーとして雨や雪から守られたゆとりある車寄せと玄関を設けた。
45年間親しまれてきた本館に代わり、石川テレビ放送の新しい顔となるメディア館の外観デザインは「ひと目でテレビ局とわかる顔づくり」と「金沢の伝統」をテーマに、デジタル映像のイメージをモザイク模様の和紙調ガラスに託して表現した。また、人気のマスコットキャラクター「石川さん」をあたかもバルコニーから覗いているように配し、地元や子供たちに親しまれる建物をめざした。インテリアはエントランスロビー壁面に地元「二俣和紙」の職人による和紙を光壁に設え、明るく温かみのあるおもてなしの空間を創った。また、トイレの金箔・漆塗調壁材の市松張りなど、随所にテレビ局らしさと石川らしさを感じさせる楽しい雰囲気づくりをめざした。この建物が末永く、石川テレビの皆様と地域の方に親しまれることを願っている。

(小谷陽次郎、岡田宏介、伊藤勝之/日建設計)

ATグループ本社 北館

ATグループ本社 北館 観東面
建築主 株式会社ATグループ
設計・監理 竹中工務店
施工 竹中工務店
所在地 名古屋市昭和区高辻町6番8号
敷地面積 2,150.84m²
建築面積 1,940.70m²
延床面積 4,321.31m²
構造規模 S造 一部W造(耐火木造梁)
地上4階
工期 2014年2月~2015年2月
最寄駅 JR中央本線 鶴舞駅
撮影 車田 保/エスエス(名古屋)
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日本の自動車産業黎明期より地域とともに発展してきた愛知トヨタ自動車の80周年事業として建てられた本社ショウルーム。近年、自動車産業においてはハイブリッド車やFCV車など環境性能を向上させる技術がクローズアップされ自動車のつくり方が大きく変わろうとしている。建築もこれに革新的な技術で応えるため、都心部において高い優位性を持つ耐火集成材「燃エンウッド®」を用いた「木のショウルーム」をつくり未来に発信する空間とした。車の「ショーケース」として透明度の高いガラススクリーンを構成するため、木造梁とそれを支えるミニマムな鉄骨柱によるハイブリッドな架構としている。一般に外部から見たショウルーム内の車は、大通りを疾走する車とは対比的にガラスボックスの中で静止している。本来「動くものである車」が動かないなら「動かないものである建築」に躍動感を与えることで活きた「ショーケース」としたいと考えた。
そこで幹線道路に70mの長さで連続する木造の梁に対して、角度を変えて連続させる天井面をうねらせて右肩上がりに交差点に向かうことで動きを可視化した。さらには時間と共に移り変わる照明演出も加えて、存在を際立たせながらこれからも街とともにありつづける「ランドマーク」となっている。
受付カウンターなどお客様とスタッフの接点となる部分には、地場産の木やタイルなど自然素材の持つ豊かな特徴を新しい技術と形態で表現することで、東海地方におけるものづくりの精神を新鮮な驚きとホスピタリティとして表出している。

(長谷川寛、伊藤貴弘、石黒紘介/竹中工務店)

蒲郡信用金庫南栄支店

蒲郡信用金庫南栄支店 外観
建築主 蒲郡信用金庫
設計・監理 伊藤建築設計事務所
施工 オーテック
所在地 愛知県豊橋市南栄町字空池59-4
敷地面積 1,895.81m²
建築面積 414.49m²
延床面積 973.31m²
構造規模 S造 3階建
工期 2014年7月~2015年6月
最寄駅 豊鉄鉄道渥美線 南栄駅
撮影 エスエス名古屋
詳細文を読む

蒲郡信用金庫南栄支店は豊橋市内における基幹店舗で、老朽化した既設店舗を営業しながら、敷地内に新店舗を新築した。
敷地東側は豊橋市の主要幹線道路である国道259号線に接しており通行量が多いため、北側及び西側市道への通り抜けができるように、建物は敷地北西角に配置した。
国道側の東ファサードには水平方向を強調したカーテンウォールを設け、幅広の間口を持つおおらかで風格のある外観を演出している。
1階南側に配置した待合ロビーは東西2方向から入店でき、広くて明るい室内空間を確保している。待合ロビーからは3階大会議室までエレベーターでアクセスでき、フレキシブルな活用を可能としている。
閉店後に下ろすのはパイプシャッターとし、ATM利用客や近隣に対し視覚的にオープンな印象を与えている。

(梶井信嘉、馬場勝巳 / 伊藤建築設計事務所)

紀勢自動車道地域振興施設「始神テラス」

紀勢自動車道地域振興施設「始神テラス」外観
建築主 紀北町
設計・監理 東畑建築事務所
施工 平野組
所在地 三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区三浦600番地
敷地面積 2,133.55m²
建築面積 687.52m²
延床面積 997.45m²
構造規模 木造(一部S造)、地上2階
工期 2014年8月~2015年3月
最寄駅 JR紀勢本線 三野瀬駅
撮影 米田正彦、土面彰史
詳細文を読む

三重県南部に位置する紀北町が整備する、町内に新設された高速道路の休憩施設である。
施設前面に来訪者を迎える軒先空間「きほくの小径(こみち)」を通し、そこから各室へアプローチする建物構成とした。1階には地域の特産物を販売する店舗と食堂、2階にはイベント等で使える多目的室が2室あり、建物中央にそれらをつなぐ吹抜空間「交流広場」がある。
構造材、内装材は全て紀北町産桧を使用し、一部にはFSC認証材を用いて、木の文化の町、紀北町をアピールしている。
ゆるやかにうねる大屋根が山と海に抱かれた自然豊かな景観とつながり、施設全体を包み込む。地域を見守り、人々がふれあい、新たな出会いが生まれる集いの場となることを願う。

(高木耕一、柱健太郎/東畑建築事務所)

北伊勢上野信用金庫 上野営業部

北伊勢上野信用金庫 上野営業部 外観
建築主 北伊勢上野信用金庫
総合監修 株式会社ティーファス
設計・監理 株式会社伊藤建築設計事務所
施工 株式会社福田豊工務店
所在地 三重県伊賀市上野丸之内38番地の4
敷地面積 1,169.93m²
建築面積 503.62m²
延床面積 887.11m²
構造規模 鉄骨造 2階建
工期 2014年11月~2015年7月
最寄駅 伊賀鉄道伊賀線 上野市駅
撮影 Studio-Nob
詳細文を読む

北伊勢上野信用金庫は、2004年1月に北伊勢信用金庫と上野信用金庫が合併して発足した地域密着型の金融機関である。旧店舗は上野信用金庫の本店であったが、前面県道拡幅のため、県道を挟んだ道向かいの土地に移転新築となった。
建物は県道沿いに配置し、東側を駐車場としてL型の敷地を有効活用した。幅員4mの南側市道の一部を幅員6mに拡幅し、車でも訪れやすい店舗としている。
建物外観は屋根を銀いぶし瓦葺き、外壁を漆喰調塗装、磁器質タイル貼として、城下町の面影が残る伊賀上野の街並みに調和した暖かみのあるデザインとした。
1階ショーウィンドウ等の開口部には強化和紙による障子を用いて、内部にやわらかな光を取り込んだ。2階窓には格子を設け、直射日光による熱負荷を低減している。
照明は全てLEDを採用して省エネルギー化に配慮した。また耐震安全性の重要度係数を1.25とし、自家発電装置(20kVA)を設置して、災害時にも業務機能を維持できる施設としている。

(上西 真哉/伊藤建築設計事務所)

希望が丘こども医療福祉センター 岐阜希望が丘特別支援学校(1期)

希望が丘こども医療福祉センター
建築主 岐阜県
設計・監理 安井・サニー設計共同体
小林建築設計
施工 1工区建築: 大日本・岐建・市川JV
1工区電気: 高橋・川田JV
1工区機械: イビデンエンジニアリング・美濃工研JV
2工区建築: 共栄・松永JV
2工区電気: 石原電機工業
2工区機械: 朝日・安田電暖JV
所在地 岐阜県岐阜市則武新屋敷鷲山向井地内
敷地面積 18,341.32m²
建築面積 7,751.43m²
延床面積 13,247.13m²
構造規模 RC造 地上2階
工期 2014年3月~2015年7月
最寄駅 JR東海道本線 岐阜駅
撮影 滝田良彦/滝田フォトアトリエ
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ひとりひとりの「生きる力」を育む総合支援の場を目指して、医療・福祉・教育が一体となった子育て不安から障がい児教育・障がい者支援まで対応する岐阜県の一大拠点施設である。敷地周辺の環境に合わせて、病棟を持つ医療福祉施設から学校、グランドを配置している。建物周囲に設けられた屋根付駐車場により雨にぬれることなくアプローチでき、異なる施設間をバリアフリーで移動することができる計画となっている。大通り、中庭、吹抜け空間を適所に設けて、利用者の特性に合わせた目的地への誘導と機能的なつながりを確保している。1 期工事として直径22mの円形スロープに囲まれた2層吹抜けのランチルームのある特別支援学校と、子どもと家族にやさしく療養環境に配慮したインテリアで壁面アートのあるこども医療福祉センターを完成させた。引続き2 期工事として特別支援学校の体育館と障がい者用体育館を整備する予定である。

(篠原佳則、東園浩文、渡部 剛/安井建築設計事務所・野辺昭造、井上幸祐/サニー建築設計)

三和商工株式会社 本社ビル

三和商工株式会社 本社ビル 外観
建築主 三和商工株式会社
設計・監理 株式会社伊藤建築設計事務所
施工 栄興建設株式会社
施工協力 ㈱デンデン、 ㈱松本設備、八木鋼材㈱、アイサン建設㈱、菱電商事(株)、 (株)不二サッシ東海、三和シャッター工業㈱、 ㈲アウル、三谷商事㈱、 ㈱春日井石材、㈱イワサキ金属、 ㈱宮木商会、㈱フォースター、建材化工㈱、㈱鈴幸、 ㈱ツボイ
所在地 愛知県名古屋市中区丸の内
敷地面積 262.25m²
建築面積 224.50m²
延床面積 903.75m²
構造規模 鉄骨造 4階建
工期 2015年4月~2015年11月
最寄駅 名古屋市営地下鉄鶴舞線丸の内駅
撮影 株式会社リフレクト
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三和商工株式会社は、1947年に設立された工業薬品・合成樹脂・建築資材等の販売及び輸出入を行う商社である。このたび本社の老朽化のため、同敷地に新築建替えを行った。
敷地は262.25㎡の変形敷地であるため、階段・EV・便所等のコアを東側に集中させ、居室空間をできるだけ広く確保する効率的な配置とした。
1階には機械駐車設備を4基設置し、中央に転回スペースを確保して車の出入れの利便性の向上を図るとともに前面道路の歩行者の安全にも配慮した。3、4階の会議室・応接室は各室で内装仕上材を変え、特色ある空間を演出した。
また、照明には全てLEDを採用し、ガラスにはLow-Eガラスを採用して室内の空調負荷低減を図る等、環境に配慮した本社ビルとしている。
外壁には、本磨き仕上げとした御影錆石を採用し、幅をランダムとしたカーテンウォールと交互に連続させることで、シャープな印象とともに暖かみを与えるデザインとした。

(上西 真哉 石橋 洋二郎/伊藤建築設計事務所)

JA鈴鹿 河曲支店

JA鈴鹿河曲支店 外観
建築主 鈴鹿農業協同組合
設計・監理 東畑建築事務所
施工 堀田建設
所在地 三重県鈴鹿市河田町373
敷地面積 4,065.25m²
建築面積 414.66m²
延床面積 646.69m²
構造規模 S造 地上 2階
工期 2015年3月~2015年9月
最寄駅 JR関西本線 河曲駅
近鉄鈴鹿線 鈴鹿市駅
撮影 tonomophoto+
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河曲支店は、鈴鹿北東部地区の営農の拠点として位置づけられていますが、建物の老朽化に伴い、既存店の建て替えを行うことになりました。新築にあたり、災害時には屋上を農協組合員や職員の避難場所として利用できるように、室外機等の設備機器を全て地上設置として計画しています。また発電機対応による運営も考慮されています。
従来の金融店舗では、コーナーとして設置されていた購買部分を、専用の購買ゾーンとして配置し、土曜日等は購買ゾーンが単独で営業可能な計画となっており、業務の効率化がはかられています。
外部は、敷地周辺道路からの遠景に配慮し、3面を温かみのある色彩のタイル仕上げとし、1階コーナー部分にはアクセントとなるアルミカーテンウォールを設置しています。
店内は、明るく入りやすい雰囲気となる様にロビーは開放感のある空間としながら、アースカラーの温かみのある色彩・材料を選定し、親しみやすさもあわせもつ空間を目指しています。また子供連れでの来店に配慮し、キッズコーナーや多目的トイレを設置しています。
施設内の照明にLED照明を採用し、アルミサッシのペアガラスの採用、断熱材の仕様等、環境負荷低減にも配慮しています。

(鈴木 茂/東畑建築事務所)

静岡県立大学 看護学部棟

静岡県立大学 看護学部棟 外観
建築主 静岡県公立大学法人
設計・監理 日建設計
施工 平井工業(建築工事)
所在地 静岡県静岡市駿河区小鹿2-2-1
敷地面積 37,066.20m²
建築面積 1,957.62m²
延床面積 6,298.42m²
構造規模 S造 地上4階
工期 2013年7月~2015年3月
最寄駅 JR東海道本線 東静岡駅
撮影 エスエス(名古屋)
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小鹿キャンパスのシンボルである「街に開かれた緑豊かなアプローチ広場」に面して立つ新看護学部棟。約5km離れた谷田キャンパスに代り、新たに看護学部のメインキャンパスとなりました。
小鹿キャンパスの既設校舎や既存樹木、特に前身の大学設立時から残る欅の大木が彩る豊かな景観を大切にした配置とし、新たな伝統を育むにふさわしい素材と色調の校舎としました。
レンガタイルの外壁から持ち出し、西日を遮る県産材ヒノキのルーバーを配した「ナレッジウインドウ」を広場側に設け、看護を学ぶ学生が行き交い交流するキャンパスの新しい顔としました。また、県産材ヒノキを活用した木の香りのするカレッジホールや、自然換気を促進するガラス張りの階段室、エアフローウインドウなどの環境技術により、看護学部にふさわしい健康的で暖かみのある学び舎としました。

(葛原定次、奥宮由美、石森秀一、田中裕大/日建設計)

第一工業製薬株式会社四日市事業所 霞工場コントロールセンター

第一工業製薬株式会社四日市事業所 霞工場コントロールセンター 外観
建築主 第一工業製薬株式会社
設計・監理 大林組名古屋支店一級建築士事務所
施工 大林・中日本建設工事共同企業体
所在地 三重県四日市市霞1丁目23番5
敷地面積 91,004.59m²
建築面積 854.05m²
延床面積 1,687.92m²
構造規模 S造 地上2階
工期 2014年11月~2015年6月
最寄駅 JR関西本線 富田浜駅
撮影 エスエス(名古屋)
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京都に本社を置く工業用薬剤メーカーである第一工業製薬株式会社のコントロールセンターを計画した。第一工業製薬の新拠点は三重県四日市市の第3コンビナート内にあり、「未来づくりの城」と「マザー工場」をコンセプトとし、今回のコントロールセンター新築工事は、その第1期工事にあたる。
コントロールセンターは、商品の製造・開発を行う製造プラントの監視室(コントロールルーム)、製品の品質管理分析室、スタッフ部門の執務室で構成されている。
1階エントランスは、来客者向けの社業のアピールが可能な展示スペースを設え、大開口を設ける事で明るいアプローチ空間を創出している。コーポレートカラーのブルーを壁面デザインとして採用し、屋外のサインから展示スペース、屋内階段へ伸びるブルーのラインが、見学者の動線を誘導する計画としている。
2階のコントロールルームには、隣接する製造プラントが見渡せる横連窓を採用した。事務室の主採光面となる西面に明るさセンサーを設置し、自然光を優先した照度制御により環境負荷低減を図っている。
外壁材の色の切り替え、L字を強調したエントランスの庇により、個性あるシンボリックな外観デザインが新拠点の顔となるように計画した。

(白石智子/大林組)

千鳥津波避難所 千鳥健康交流の家

千鳥津波避難所 外観
建築主 東海市
設計・監理 伊藤建築設計事務所
施工 中村土木建設(建築工事)
小島電機(電気設備工事)
三和テクノ(空調設備工事)
小島配管工事(給排水衛生設備工事)
所在地 東海市名和町一番割中地内
敷地面積 622.86m²
建築面積 264.89m²
延床面積 848.22m²
構造規模 S造5階建
工期 2014年6月~2015年3月
最寄駅 名鉄名和駅
撮影 センターフォト
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この建物は、近い将来発生が危惧される南海トラフ巨大地震による津波災害を想定した防災拠点であるが、平時は地域の高齢者が自由に集い世代間交流を図ることも期待している。1階には交流促進スペース、2階に健康増進スペース、3階には防災交流スペースを設け、普段から使用することで災害時に慌てることなく避難できるよう意図されている。
構造は鉄骨造で、最大5mの津波が押し寄せても耐えられる設計としている。また、屋上に設置した自家発電設備は最大70時間の運転が可能で、1日10時間想定で1週間建物内の電力を確保できる。階段幅は1.8mで車椅子を両脇から支えながら利用でき、天井は耐震天井で災害時の使用に支障が出ないようにしている。1.2階の内装には木材をふんだんに使い、床はクッション性のある鋼製床で、高齢者も安心して利用できるようにしている。
いつ起こるか分からない災害に備えるだけではなく、普段から地域住民に愛される施設となることを望んでいる。

(梶井信嘉、稲垣志聞 / 伊藤建築設計事務所)

常滑市民病院

常滑市民病院 外観
建築主 常滑市
設計・監理 日建設計
施工 鹿島建設
所在地 愛知県常滑市飛香台3-3-3
敷地面積 43,941.15m²
建築面積 10,910.43m²
(病院棟 6,081.76m²)
延床面積 23,628.71m²
(病院棟 22,130.79m²)
構造規模 RC柱・S梁混合構造 一部SRC造
RC造 地上7階
工期 2013年10月~2015年2月
最寄駅 名古屋鉄道常滑線 常滑駅
撮影 エスエス(名古屋)
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国交省推奨による「ECI発注方式」の先行事例として、施工者のノウハウを反映させた実施設計など、施主・設計・施工の三者一体で、コスト・工期の合理化に取り組んだ病院プロジェクトです。
病院のコンセプトである「コミュニケーション日本一の病院」を受けて、「顧客(市民)」「スタッフ間」「地域連携」の3つのコミュニケーションを大切にし、敷地内にグリーンベルトを設置して近隣住民が買物や散歩に利用する気軽に立ち寄れるなど、街のような開放的な病院づくりを目指しました。
外来部門は雁行配置により、行き先が見えるわかり易い建物構成とし、緑と自然光を取り込む明るい空間としました。また、エントランスホールに設置されたモザイクタイルのアートは、高校生のデザインをもとに2,900人の市民の手でつくられた常滑にふさわしく市民の健康を大切にする院内のシンボルとなっています。
*ECI発注方式: アーリー・コントラクター・インボルブメントと呼ばれる工事発注の方式。昨今の建設物価高騰の状況の中で、実施設計の前に施工候補者を選定して、設計者と施工者が知恵を出し合って工事予算の削減や工期短縮に取り組みながら実施設計をまとめる。

(橘高宗平、荒川康弘/日建設計)

名古屋熱田水素ステーション

名古屋熱田水素ステーション 外観
建築主 豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー株式会社
設計・監理 大林組名古屋支店一級建築士事務所
設計協力 アトリエ・ジーアンドビー
施工 大林組名古屋支店
所在地 愛知県名古屋市熱田区六野一丁目204番1他
敷地面積 579.03m²
建築面積 139.31m²
延床面積 139.31m²
構造規模 S造 平屋4棟、S造+RC造 平屋1棟
工期 2014年10月~2015年1月
最寄駅 JR東海、名古屋鉄道、地下鉄 金山駅
撮影 車田写真事務所
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名古屋市内初の商用単独水素ステーション。トヨタ自動車の燃料電池自動車MIRAIの発売にともない、FCVの普及に合わせたインフラ整備の先駆けとなる施設で、ディスペンサー棟+事務所棟+水素プラントで構成される。
燃料電池車はクルマと環境の関係を新しいステージに引き上げた。その「クルマ」にエネルギーを供給する場も変わるべきだと考えた。従来のガソリンスタンドにみられる重工業的雰囲気とインパクト重視の広告性を発露するものから脱却し、クリーン/スマート/シンプルなイメージをもつ、まちなみの美的構成要素たりえる建築とした。
各建物のボリュームとアウトラインは、利用時の視界安全性確保から導き出した。
ディスペンサーキャノピーは、架構安定性とローコスト化を図った構造デザインとしている。また、これからのエネルギー「水素」をイメージしたブルーのアクセントカラーは、多角の造形とあわせて利用者を自然な動線へ導くとともに、敷地周辺がもつ日常的風景の活性化にも寄与している。
建築と一体的にデザインされたサイネージは、ドライバーのアイレベルを考慮したミニマムなモーショングラフィクスとすることにより、景観に配慮された広告性の強化を意図した。
これから普及していく水素ステーションという新しいビルディングタイプが、社会に歓迎される施設となることを目指した。

(河田利香/大林組)

会員のつぶやき

事務局

一般社団法人 日本建築協会
東海支部 事務局

〒460-0008
名古屋市中区栄2-10-19
名古屋商工会議所9F
TEL:052-201-2201
FAX:052-201-3601
E-mail:info[at]aaj-tokai.jp
[at]を@に置き換えてください。
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